TOP » メーカーがあまり教えたくない関節痛とサプリメントのQ&A » グルコサミンは効果がない?

グルコサミンは効果がない?

関節痛にはグルコサミンが良い、という話は誰でも一度は聞いたことがあるはず。しかし、グルコサミンを摂取しても関節痛の対策・改善には効果がない…という話を最近よく聞くようになっています。実際に効果がないのか、気になりますよね。グルコサミンの成分について、そして効果がないと言われるようになった理由などをまとめてご紹介します。

グルコサミンってどんな成分?

グルコサミンは、アミノ糖の一種です。カニの甲羅・エビの殻などに含まれている成分なのですが、私たちの体の中にも存在しています。そして、軟骨を形成する原料です。軟骨を形成する原料であることに間違いはないのですが、どうして関節痛の対策や予防はできないと言われるようになったのか、が気になりますよね。

長い論争の上で下された結論

グルコサミンはそもそも、効果があると考えている人もいれば、効果はないと考えている人もいる、どちらの可能性も捨て切れない成分ではありました。グルコサミンを経口摂取しても、それが体内で分解されてから再度グルコサミンとなる可能性は低い、という考えを持った人は非常に多かったでしょう。しかし反対に、効果があったとする論文も存在していたことから、はっきりとしていなかったのです。しかし、多くの臨床試験が行われるにつれて、グルコサミンの本当の力が見えてくるようになりました。結果を集めて検証した結果、グルコサミンは効かない、という結論が2010年出たのです。とはいえ、それはあくまで大多数の人にはあまり効果がないというだけで、グルコサミンの効果を感じられる人もいるのではないか、という反論も出ました。そういった意見もあったことから、2017年に再度研究結果が発表され、グルコサミンの効果はあるのか・ないのかが証明されることに。

その結果とは、今まで20年あまりの間に発表があった臨床実験の論文で、その著者に患者のデータ提供を依頼したところ、15論文の著者は拒否をした、というものです。連絡をしても返事がないとか、同意が得られない、データを破棄してしまった、など拒否理由は様々。データを提供したくないという著者がとても多いという結果になりました。

データ提供を拒否している=何らかの問題があったというような疑いを持つこととなり、結局グルコサミンの効果はなかった、という結論が出たのです。

どうしてグルコサミンは効果がある、と言われていたの?

グルコサミンの効果が期待されていたのは事実です。では、どうしてグルコサミンには効果があると言われていたのでしょうか。膝の痛みに悩んでいる人たちに、グルコサミンを摂取してもらい、10名中の4名が痛みの軽減を感じられた、としてもその結果だけでグルコサミンが有効である、とすることはできません。同じように膝の痛みに悩んでいたけれど、グルコサミンを飲まなくても痛みの軽減を感じられた人がいれば、グルコサミンのおかげではなく、違う理由がある、ということになります。もしプラセボと呼ばれる偽の薬を、グルコサミンと認識して飲み続け、それで痛みの軽減が感じられた人もいれば、心理的効果による回復、ということになりますよね。

今まで行われてきた試験は、何らかの問題点がある、その問題点もクリアした試験が行われた成分に関しては、はっきりと効果があると言い切ることはできます。しかし、グルコサミンの場合ははっきりと効果があると言い切れるほどの試験が行われることがなかったのではないでしょうか。

今求められているのは、仮説ではなく証明

軟骨を構成する成分を取り込めば、おそらく体内で軟骨成分となって働いてくれるだろう、という意見はあくまで仮説です。しかし、その仮説が広まっていき、製品化されて世に出回ることも多々あります。ただし最近は、より安全性や確実性が求められている時代です。仮説だけではなく本当に効果があるのかを証明して初めて、本当に効果がある成分だ、という認定がされるでしょう。

グルコサミンも同様で、仮説で広まってしまった効果が証明を求められる時代になり、証明をしてみた結果、効果はないということがわかった成分です。

続々と撤回される機能性表示食品

2015年に日本で発足した、機能性表示食品制度。企業が消費者庁に届け出をすることで機能性表示食品として販売できるようになる、という制度です。グルコサミンに関しては、2018年1月の時点で膝の痛み・動きに効果が期待できると届け出をしています。しかし、届け出をしていた企業が続々と撤回をするという事態に。撤回をした企業は、表示の名称を変えるためなどというような回答をしているのですが、変更は変更届を出すだけで可能となっているため、撤回にはその他の理由があるということがわかっています。

効能の根拠としていた論文に問題があった、それが大きな理由となっていたようです。その論文はこちら。

論文1:競輪選手41名をグルコサミン塩酸塩1日1500mg群(14名)、3000mg群(14名)、プラセボ群(13名)に分け、3カ月間摂取させたところ、軟骨分解の指標は試験群とプラセボ群の間で有意な差はなかったものの低下傾向を示した。

出典:【PDF】グルコサミン研究 Vol.9 2013:競輪選手の骨・軟骨代謝に及ぼすグルコサミ ンの効果【PDF】

論文2:サッカー選手21名にグルコサミン塩酸塩1日1500mgまたは3000mgを3カ月間摂取させ、摂取前後の軟骨代謝の指標を測定した。プラセボ群は設定しなかった。その結果、摂取後に指標が有意に減少し、摂取中止後には元のレベルに戻った。

出典:【PDF】順天堂スポーツ健康科学研究:サッカー選手の軟骨・骨代謝バイオマーカーに及ぼすグルコサミン投与の効果【PDF】

この2つの論文です。グルコサミンが軟骨の分解を抑制できる効果を持つ成分、という主張をしていたのですが、「試験群とプラセボ群の間で有意な差はなかった」という一文によってわかるように、差がなかったのであれば低下傾向を示したことがはっきりとしない、という結果になったのです。論文2に関しても、「プラセボ群は設定しなかった」ということで有効性の根拠としては不十分となりました。

全日本民医連の意見もチェック

全日本民医連のサイトでも、グルコサミンは軟骨の原料ではあるが、関節痛には効かないというような内容が記載されています。

グルコサミンは、軟骨の成分「ヒアルロン酸」を構成する2種類の糖のうちの1つです。軟骨は主柱となるタンパク質の「コラーゲン」、それを束ねる「ヒアルロン酸」と水分を保持する「コンドロイチン硫酸」などの糖鎖で構成されています。糖鎖に使われる成分は、基本的にブドウ糖を原料として体内で合成されます。  代謝でみると、成人女性に必要とされる摂取カロリーは1日約2000キロカロリー。その食事の6割が糖質として、300グラムのブドウ糖がエネルギーと生体組織の合成に使われています。そこにわずか1~2グラムのグルコサミンを摂取して、関節の軟骨に十分な量が届くと考えるのには無理があります。

出典:全日本民医連

とのこと。グルコサミンによる関節痛への効果は期待できないもの、となってしまいました。今までグルコサミンに期待して関節痛予防や対策をしてきた人、グルコサミンを摂取して健康を維持しようと考えてきた人にとっては、なんとも悲しいお知らせかもしれません。しかし、グルコサミンには効果がないとわかったことで、違う対策や予防を考えることもできます。